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こちらは福井市美山地区です(旧・足羽郡美山町)

福井新聞(2005.2.15)

美山の地酒「黎明」初しぼり 豪雨、理解者の死乗り越え 90人試飲
 (2月13日)

 美山町産の酒米で作ったオリジナル純米酒「黎明(れいめい)」の「初しぼりの儀」が十三日、福井市御幸一丁目の酒蔵「常山(とこやま)酒造」で行われた。地酒造りを通したまちづくりに取り組む「越前みやま地酒の会」の会員ら約九十人が、同町に大打撃を与えた福井豪雨など、さまざまな悲哀を乗り越え完成した美山の”美酒”を味わった。

 「黎明」は、美山にこだわった地酒を通じてまちづくりを目指す同会が三年前から造っている。例年、美山町内で栽培した酒米「美山錦」と、足羽川に注ぐ伏流水を使い、福井市内の酒蔵で毎年醸造してきた。

 ところが、今季は昨年七月十八日の福井豪雨で美山町は壊滅的な被害を受け、同町内にある六十アールの田んぼも、約四分の一が濁流で流出した。自ら被災した会員らが九月、被害を免れた酒米二十七俵を収穫。年明けには何とか美山の水を酒蔵に運び込み、今シーズンの新酒完成にこぎ着けた。

 また昨年は同会の志に共鳴して全面協力してきた常山酒造社長、常山英朗さん=享年(48)=が豪雨の六日前にがんで急逝。大災害や理解者の死を乗り越え、これまで以上に思い入れが詰まった地酒が出来上がった。

 初しぼりの儀では、会長の小林悟さん(49)=美山町南野津又=が「発足三年目を迎え、すべてが順調と思っていた矢先、豪雨や常山さんの死という悲しみに包まれた。奇跡的に難を逃れた酒米でできた黎明を味わい、災害などで疲れ果てた体や心をいやしてほしい」などとあいさつ。招かれた有塚達郎・美山町長や西川一誠知事も加わり、三年前から熟成してきた古酒と飲み比べを楽しんだ。

 会場では美山錦のおにぎりや米粉パンのサンドイッチ、赤カブラ漬け、おろしそばなども振る舞われ、参会者は”美山の味”を舌で再認識した。自宅が全壊被害に遭った同会メンバー、藤田孝幸さん(45)=同町西河原=は「このイベントをきっかけに、力強い美山を取り戻したい」と話していた。

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