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少子高齢化という時代の到来。日本の将来のあるべき姿について不安まじりの議論も絶えない。だが、夢がないというのではない。知恵と工夫次第では、自分たちが住むまちを、社会を元気にすることだってできる。
この特集では「地域の人たちの力でまちを元気にした話」をシリーズで紹介していく。 そこから得た情報をもとに、あなたのまちも、もっともっと元気になる取り組みを始めてみてはいかがですか。 |
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福井市南西部の山あいに、今回の舞台となる美山地区がある。
美山地区が、まだ美山町であった1997年、文化ホール・図書館などを併設した複合施設が建てられた。みやま木ごころ文化の郷と名づけられたこの施設で、毎年公演を続けているのが、『みやま木ごころ一座』だ。「美山の民話を、美山の劇場で、美山の人が」をキャッチフレーズに、裏方から出演まですべてを地元の子どもや大人たちがこなす市民劇団である。
当時、文化ホールのこけら落とし公演を何にしようかという話し合いがされていた。そこで出たのが、「美山の民話を町民自身が演じる民話劇にしよう」という案だった。
劇団の座長は、みやま木ごころ文化の郷の館長に就任した林幸男さんが、引き受けることになった。
まずは、劇団員を集めること。林さんは、手書きの広報誌「木ごころ」を週刊で発行して、町民からの公募を始める。広報誌は、町内の全世帯に配布された。毎号「まんが日本昔話の常田富士男さんといっしょに出演できるよ」等の見出しをつけ、応募者数の報告や演出家のメッセージを掲載した。その結果、なんと79名もの応募があった。小学生33名、中学生4名、高校生3名、大人39名。この中には、親子での参加も11組いた。
子どもたちが大好きなダンス練習
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こけら落とし公演まで、あと3ヶ月となった8月。演目は、「木ごころチャチャチャ」に決まり、ようやく台本が出来上がる。
福井市在住の俳優今成友見さんが、脚本・演出を担当した。今成さんは、「芝居づくりは登山と同じ、公演の成功のカギは上手下手にあるのではなく、どれだけ、みんなと山登りを楽しんだかにある」と指導した。
音響・舞台装置・衣装・広報など裏方作業は、それぞれ工夫を凝らし、すべてが手づくりで進められた。また子どもたちを中心とした出演者たちは、今成さんの指導のもと、週2回の練習を繰り返した。
劇団活動を体験する中で、参加する子どもたちには大きな変化が現れた。練習が始まった頃は、自己紹介もできずに泣き出していた子が、公演が終わる頃には見違えるほど積極的になったそうだ。
そして迎えた旗揚げ公演は、観客・劇団員に大きな感動を与え、大成功をおさめた。ここに、みやま木ごころ一座が誕生したのである。その後も、年1回の公演を続けた一座は、2006年10月、ついに10回目の公演を迎えた。
第4回公演までは、プロの今成さんの指導を受けていたが、5年目には、脚本・演出・音楽・衣装・装置等、すべてを団員だけでまかなえるようになったというから、驚きだ。
2006年公演「晴れないお姫様」
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フィナーレ「木ごころチャチャチャ!」
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10年間に渡る木ごころ一座の活動は、美山の人々に活力を与え、さまざまなまちづくりの輪を生み出した。一座の活動に参加することで、新しい人間のつながりが生まれ、そこから新しいグループができる。
劇団「ババーズ」もそのひとつ。「ババーズ」は、旧美山町の蔵作地区に住むお年寄りたちの劇団。蔵作地区に住む林さんが、「おばあちゃんら劇やらんか」と呼びかけたことから、誕生した。平均年齢は70歳。結成時のメンバーが、女性ばかりであったため、お婆ちゃん劇団「ババーズ」という名になった。アドリブがバンバン飛び出す楽しい爆笑喜劇で、老人会や地区の演芸会などにひっぱりだこだ。
また、2005年に設立された「美山まちづくりNPO」は、行政と協働で、美山地区の活性化を目指すNPO法人。美山の自然と歴史と人情を味わうことのできる「美山わくわく体験バスツアー」を企画したり、豪雨で被害を受けた越美北線の復旧を応援する「越美北線盛り上げ隊」を結成するなど、楽しいまちづくり活動を進めている。
お婆ちゃん劇団「ババーズ」
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美山まちづくりNPO
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たくさんの楽しいまちづくり活動を生み出してきたみやま木ごころ一座は、2006年11月、あしたのまち・くらしづくり活動賞(財団法人あしたの日本を創る協会、読売新聞東京本社など主催)のまち・くらしづくり活動部門の主催者賞を受賞した。
「子どもも、お年寄りも、大人たちも、楽しく活き活きと地域の中で活動している。これこそが、まちづくりではないか。」(みやま木ごころ一座座長・林さん)
今年の公演は、11月25日に決定した。8月から、この公演に向けての本格的な練習が始まる。
11年目を迎えたみやま木ごころ一座の活動は、これからも楽しい美山を発信し、新しいまちづくり活動を生み出していくことだろう。