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こちらは福井市美山地区です(旧・足羽郡美山町)

朝日新聞 週刊まちぶら 2006年01月10日

美山町下宇坂地区


 「足羽杉」の産地で知られる林業のまち、美山町。下宇坂地区は足羽川沿いに広がり、04年7月の福井豪雨では壊滅的打撃を受けた。同年末、復興に向けた住民たちの取り組みを取材する中で、ある話を聞いた。
 「下宇坂にすごい画家が住んでいた」
 話をしてくれたのは町立下宇坂小の元校長で、町立図書館長の林幸男さん(69)。墨絵(南宗画)を描き、その作品が、地区の旧家や同小などに残されている。絵筆はダイナミックでありながら精緻(せいち)で、見る人の心を魅了するという。
 画家の名は「飯原如堂」。林さんによると、約60年前、同町市波の本向寺の蔵に1人で居候していたらしい。ぼろぼろの和服を着て朝から酒を飲み、酔いながら筆を取っていたという。

かつて飯原如堂が住んだ本向寺の境内を歩く林幸男さん(=写真左)と飯原如堂の自画像が描かれた色紙(=同右)

写真


 下宇坂地区で如堂を知る人々を訪ねた。昨年11月に亡くなった元町議会議長の三ツ井安男さん(享年85)に生前、話を聞かせてもらった。自宅の和室で、如堂作の竹林を描いたふすま絵や竹細工を見せていただいた。
 「うちに来ておやじとよく酒を飲んでいた。正月には興に乗り、その場で絵を描いたこともあった」と述懐した。
 下宇坂小にも如堂の作品が数点、存在する。小嵐龍夫教頭の案内で倉庫に入ると、富士山の墨絵が保管されていた。以前は体育館に飾られていたというその絵は縦約80センチ、横約2.5メートルの額に納められた大作。力強さがあふれていた。
 

飯原如堂作の富士の絵。下宇坂小学校で保管されている=いずれも美山町市波で

写真

 
 如堂とは何者なのか。福井市の古美術店「あたご画廊」の店主、片岡高昭さん(76)が、経歴を記した資料を入手してくれた。「南宗画家。明治21年5月20日生まれ。今立郡鯖江町出身。(住所は)東京市牛込区矢来町48(現東京都新宿区)。父祖は旧鯖江藩に仕えたる旧家…」
 「絵は立派だが、名を知る人は福井の古美術業界でもごくわずか」と片岡さんは指摘する。
 作品の制作年をたどると、如堂は50年ごろまで地区内にいたらしい。
 本向寺近くに住む山下昭二さん(78)は「如堂は終戦前に東京から疎開してきた。事情があって寺を出たが、まもなく病気で倒れたようだ」。その後の如堂の足取りや命日、墓の場所を知る人はいない。
 雪深い本向寺を、林さんと訪れた。住まいとしていた蔵は今はもう存在しない。しかし、如堂の作品は下宇坂の家々で、伝説とともに「宝」として生き続けている。(松尾一郎)

クイズとプレゼント

 林業の盛んな足羽郡美山町。さて同町産の木材として代表的なものは次のうちどれでしょうか?

 (1)足羽杉(2)足羽松(3)足羽桧

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笑顔に会いました

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